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Spot Light

 22.Sep.2006 (Friday)、19:00PM、KUDAN-KAIKAN
 Hanako Oku First Concert "Unchanged Things"

一条のスポットライトが、細い円錐形の日向を作り上げた。

照らされた手が動いて、マイクにハァッという息を吸い込む無声音が記される・・・
♪君に恋した夏の日・・・♪
「花火」で始まった、初めての"大きなハコ"でのコンサート・・・。
チケットが二階席だって知った時は、少しがっかりもしたんだ・・・。
でも、
今、こうして二階席から貴女を見下ろすと、今迄とは違った光景が見える。

吉祥寺のライブハウスで、初めて貴女の歌を聞いた。その時に「新しい曲だ」と言っていた、懐かしい「その手」。
胸の奥から遠い記憶を呼び覚ましてくれる、「ガーネット」。
聞く度になんとも切ない気持ちになる、「窓辺」。
・・・と、個人的に気に入っている曲が続き、僕は奥華子の作り出す音の世界に、知らず知らず引き込まれて行く。スピードを早めて・・・。

曲の合間に息継ぎをする様に語られるMCは相変わらず。
「オイッ!!」とツッコミを入れたくなる様な、いつも通りの、頬を緩ませる会話と、貴女自身の決意を示す強い言葉が、交互に語られる。

そしてまた貴女は曲を奏で始める。
アコピとエレピの間を移動しつつ歌うあなたの様子を、
僕はなんだか、不思議な感覚で眺めていた。
古い九段会館のステージは、まるで学校の体育館のステージの様に見えた。懐かしい要素を佇ませ、貴女を優しく包んでいる板張りのステージと"場ミリ"のテープ。
その上を曲に合わせて舐める様に動いて行く、ライト。
紅く・・・蒼く・・・緑色にも・・・星空さえも・・・。

いつだかのライブで貴女は言っていた。
「大きな会場ではやりたくない。みんなの顔が直に見え、感じられる距離で歌い続けたい・・・」と。
でも・・・貴女は今日のステージで言っていた。
「こんな大きい会場だと、みんなと物理的には遠いです・・・。でも、全然遠く感じない!!」って。

スポットライトを使ったライトワークがどんなに貴女の周りを動き回ろうと、貴女に当たったピンスポは外れない。
それは奥華子というアーティストがインディーズだった、ほんの少し前、憧れ、夢想していた光景では無かったか。
貴女はインディーズの頃と同じ距離感、呼吸を忘れないだろう。しかし、貴女に当たったピンスポが、もはや消える事は無い。
貴女は既に、そんな舞台に立っているのです。

2006.10.2書く
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